「遺品」とは、故人が残した故人にゆかりのある物のことを意味します。有価証券や貴金属・宝飾品などの貴重品の他、趣味で集めていたもの(骨董品など)、衣類、写真、手紙まで、故人が生前大切にしていたものは全て遺品として扱われます。
なお、遺品整理は死後すぐに行う必要はありませんので、葬式や役所の手続きが終わり気持ちの整理ができてから行うのが良いでしょう。
一方で「生前整理」は生きているうちに身の回りを整理し、不要なものを処分したり、相続対策や遺言書の作成、葬式の手配をしたりすることを指します。
死後に大量の遺品が残されていた場合、遺族は精神的も肉体的にもかなりの負担がかかってしまいます。また相続争いが起きてしまうこともありますので、元気なうちに残しておく物と処分する物は仕分けておき、必要があれば生前贈与を行うと良いです。
特に死後、高価な物や価値の高い物が残されていた場合は必ずと言っていいほど問題が生じますので、生きているうちに売却して現金に変えるなり、決めた相手に渡しておくなりすることでトラブルを回避できます。
なお、骨董品など価値がよくわからない物がある場合は、遺品整理・生前整理業者を呼ぶ前に骨董品買取業者で査定してもらっておいた方が良いでしょう。2回業者を呼ぶのは面倒かもしれませんが、やはり骨董品や美術品といった類の物は専門的に取り扱っている業者の方が高く売れますので、処分前に鑑定依頼するのが望ましいです。
遺品整理は単に故人の持ち物を片付けるだけではありません。故人の想い、そして残されたご家族の想いを尊重し、ただの不用品回収では収まらない様々なサービスが提供されています。
遺品の仕分け
遺品整理業者と一緒に手元に残しておく物と処分する物を仕分けていきます。
ご家族に1つ1つ確認しながら、形見分けする物・売却する物・リサイクルに回す物・廃棄する物などに細かく分けます。
遺品の買取
まだ使える家具家電、貴金属や宝飾品、着物、切手、骨董品など、価値のある遺品は遺品整理の際にまとめて買い取ってもらえます。
自分でリサイクルショップやフリマアプリなどに売ることもできますが、価値があるのか判断しづらい物が複数点ある場合はそれだけ手間も増えて大変です。なるべく手間をかけずに処分したい場合は、遺品整理の相談と併せて買取の相談もしておくと良いでしょう。
遺品の処分
不用品やゴミを分別しながら処分します。買い取ることができない家具や粗大ごみに出せない家電、遺品整理で出た大量のゴミなどをまとめて回収してくれるので、家族で整理するよりも短時間で手間なく終われます。
ただし処分品が多いとそれだけ費用も高くなってしまうので、大量のゴミが出ると予想できる場合は定額パックなどの追加料金がかからないプランを選択しましょう。
遺品探し
故人が所持していた通帳や貴金属・宝飾品、ブランド品、有価証券、権利書などの貴重品をご家族と一緒に探します。こういった類の物は本人にしかわからない場所に保管されていることも多いため、闇雲に探すよりもプロと一緒に捜索した方がスムーズに発見できます。年金の受給停止処理や諸々の支払い手続きに必要な場合は、早急に取り掛かりましょう。
また価値のある遺品は後から相続人同士でトラブルになる可能性が高いので、遺品整理の際は必ず最初に捜索しておきましょう。
遺品の供養
故人が生前愛用していた物や仏壇仏具・人形・ぬいぐるみなどの遺品を「お焚き上げ」して焼却し供養します。
日本では古くから「モノには魂が宿る」と考えられており、また故人が生前愛用していた物をゴミとして処分したくない場合もあると思います。そのため、そのような遺品を手放す際は神社仏閣でお焚き上げして、「魂抜き」を行うのが一般的です。必ずしなければいけないわけではありませんが、故人を敬う意味でも、気持ち的な意味(罰が当たるなど)でも、想いの詰まった品物はお焚き上げ供養をしておくと良いでしょう。
なお、お焚き上げ供養の方法にはいくつか種類があり、遺品の大きさや数、宗教上の理由などによって選ぶことができます。
合同供養
遺品をお寺や神社へ持ち込むまたは郵送し、他の依頼者が預けた遺品とまとめて供養してもらう方法です。費用は一番安く、遺品整理の際に無料で行ってくれる業者もあります。
個別供養
他の人の遺品とは一緒にせずに個別で供養してもらう方法です。特に大切な物や、合同で供養したくない物などを供養する時におすすめです。
なお合同供養よりも費用は高く、大抵は有料オプションとなっています。
現場供養
故人の自宅まで僧侶を呼び、お経を読んでもらうことで供養する方法です。自宅に直接来てもらえることから大きい・重たい遺品も運ぶ必要がなく、故人の過ごした場所で供養できるのがメリットです。
その代わり費用は一番高く、僧侶の出張料もプラスで加算されます。
ハウスクリーニング(脱臭・除菌)
遺品整理と一緒にお部屋の清掃も行います。通常のハウスクリーニングでは落としきれない汚れや臭いも徹底除去し、除菌まで行います。
特殊清掃
事故死や孤独死などで特有の汚れや臭いが染み付いてしまっている場合は特殊清掃を行います。かなり専門的な作業になりますので、個人で行うよりも遺品整理と同時に依頼するのが賢明です。
ゴミ屋敷片付け
高齢者の一人暮らしの場合ですと体力的にも片付けが難しくなってくるため、いつの間にかゴミ屋敷と化してしまっているパターンは多いです。ゴミ屋敷は汚れや臭いが酷いだけでなく害虫も沢山湧いているため、個人で作業するのは困難です。また遺品とゴミを一緒に処分してしまわないよう、仕分けと清掃は遺品整理のプロにお任せするのが得策です。
遺産相続
遺品仕分けの際、財産的価値がある物は相続財産に含まれることがあります。相続は被相続人の死亡と同時に発生するため、遺産分割を行う場合は遺品整理と同時に行うのが良いでしょう。
遺品整理も相続も個人で処理するのは大変ですし、身内が亡くなった後は何かとバタバタしてしまいますので、諸々の手続きを急いでいる場合は相続の専門家とも連携している遺品整理業者に相談するのがおすすめです。
不動産整理
身内が亡くなり実家が空き家となってしまった場合、売却または賃貸物件として貸し出すか、あるいは家を解体して更地にするか考えなくてはいけません。
築年数が古くて立地も良くない場合は買い手を見つけるのに苦労しますが、空き家のまま放置しておくと老朽化して倒壊する危険性や、放火・自然発火による火災が起こる危険性があります。また、犯罪集団に不法侵入されて地域の治安が悪化することや、不法投棄によって害虫・害獣が棲みつくこともあるので、実家が空き家となってしまう場合は遺品整理と同時に不動産整理を行う必要があります。
遺品整理業者の中には不動産事業を展開している所もあるので、実家を売却または活用しようと考えている場合は一緒に相談すると良いでしょう。
空き家解体・リフォーム
空き家を放置することによって起こりうるリスクはまだまだあります。そのため行政は近年各地で増加している空き家への対策として、2015年2月26日に『空き家対策特別措置法』を施行しました。
この法律が定義する『特定空家等』に該当し、さらに勧告に対して措置を講じなかった場合は50万円以下の過料に処されるほか、固定資産税の軽減対象からも外されるため最大6倍の固定資産税を納めなくてはなりません。
つまり空き家を放置したままだと百害あって一利なしの状態になるので、今後リフォームして住んだり活用したりする気がない場合は、いっそのこと解体してしまうのも一つの手です。
土地は建物付きよりも更地の方が高く売れる傾向にあるので、遺品整理後に不動産整理も考えている場合は個別に依頼するよりも、遺品整理・空き家解体・不動産整理(不動産活用)を一つの業者にまとめて依頼すると良いでしょう。
近年は少子高齢化や核家族化などの社会的背景から遺品整理の需要が増大しています。
そしてどんな事業でもそうですが、世間のニーズが高まるにつれて増えるのが悪質業者の存在です。
遺品整理は本来であれば専門知識を要する仕事なのですが、単に「不用品を片付ける」という側面だけで見れば開業資金も少なく誰にでもできる仕事です。そのため新規参入がしやすく、一部では資格や許可証はおろか知識すら持ち合わせていない業者も存在しています。そして、こういった業者に依頼してしまうと金銭トラブルだけでなく大切な遺品まで失ってしまう危険がありますので、依頼の際は十分注意する必要があります。
こちらでは、そんな悪質遺品整理業者にまつわるトラブル事例をいくつかご紹介したいと思います。
1. 不当な追加料金の請求
悪質遺品整理業者とのトラブルで特に多いとされるのが高額請求です。通常であれば追加料金の有無は見積もり時に説明するものですが、悪質業者の場合は作業終了後に何かと理由をつけて不当な料金を請求してきます。
当初の見積もり金額が安くても、後からこういった高額請求をされることはよくありますので、見積もりの際は必ず追加料金の有無を確認し、また契約書などの書面でも記載がないか必ず確認しましょう。
2. 遺品をぞんざいに扱われる
遺品は故人の思い出が詰まった大切な物であり、それを整理する業者は故人や遺族に対して弔う気持ちで作業にあたるのが通常です。
しかし、遺品整理という仕事に特別な思い入れのない業者は遺品を単なる「不用品」としてしか見ておらず、扱いもいい加減です。大切な遺品をぞんざいに扱われて壊されたり、部屋の壁や床に傷つけられたりするだけでも腹立たしいですが、酷い場合は土地の権利書などの貴重品も依頼主に確認しないまま勝手に処分してしまうケースがあります。
3. 金品の盗難
遺品整理において貴金属や宝飾品、高級ブランドの腕時計、へそくりなどの現金が発見されることはよくあります。当たり前ですが業者がそれらを発見した際は依頼主に報告する義務があるのですが、中には知らせずこっそりと自分の懐に仕舞ってしまう者もいます。
特にポケットに入れられるような物は隙を見て盗まれる危険があるため、作業中はなるべく立会い、作業員が怪しい動きをしていないかチェックしましょう。
そして遺品であっても他人の物を勝手に持ち出すのは窃盗罪にあたるため、もしそのような行為に気付いた際は速やかに警察へ相談しましょう。
4. 相場以下の価格での買取
遺品の中でも骨董品や美術品、コレクターズアイテムなどは価値や相場がわかりづらく、素人ではまず正確な鑑定はできません。しかし素人目にはただの不要品がその界隈では高額取引されている場合もあるため、価値がよくわからない物は安易に処分せずに買取業者に出張査定を依頼しましょう。
なお、悪質遺品整理業者の場合はきちんと査定せずに相場以下の価格で買い取り、その分利益を高くしようとします。故人が大切にしていた遺品を二束三文で売ってしまわないよう、査定額に納得がいかない場合は後日、専門の買取業者に依頼しましょう。
5. 回収した遺品の不法投棄
法令遵守しながら遺品整理のサービスを提供する場合は、『産業廃棄物収集運搬許可証』や『古物商許可証』の他に、『一般廃棄物収集運搬業の許可』の保持もしくは許可業者との提携をしている必要があります。
当然ながら無許可は違法ですので、業者に遺品整理を依頼する際は必ず、上記の許可証の保持(または許可業者と提携しているか)確認しましょう。
酷い話ですが、一部の悪質業者の中には無許可で回収した後、山奥など人目のつかない場所に不法投棄しているケースがあります。実際に逮捕者が出た事例もあるため、安さだけを売りにしているような怪しい業者はなるべく利用しない方が賢明です。
そして故人の遺品をそんな風に捨てられるだけでも腹立たしいですが、もし不法投棄を行った業者が摘発された場合、依頼者にも責任を問われる可能性があるため注意が必要です。
『終活』という言葉が2012年の新語・流行語大賞に選出されて以降、不用品回収・遺品整理を取り扱う業者は年々増加傾向にあります。そしてそれに伴うかのようにいい加減な業者も後を絶たず、ゴミの不法投棄は無視できない深刻な社会問題となっています。
この問題に対して私たちができることは、「このような悪質業者を利用しないこと」が第一に挙げられるため、遺品整理業者に依頼する際には必ず『一般廃棄物収集運搬業の許可』を持っているか、もしくは許可証を持った業者と委託契約を結んでいるか確認しましょう。
許可証があり、尚且つ『遺品整理士』が在籍している業者であればより安心です。また見積もりの際も、ホームページ上に「見積もり・キャンセル無料」「見積もり後の追加料金なし」「相見積もり歓迎」などの記載がある業者を優先的に選びましょう。
当サイトでご紹介している遺品整理業者はどれも地域密着型の優良業者ばかりですので、気になる方はぜひランキングをチェックしてください。